自己啓発書として定評のある「仕事は楽しいかね?」を読んでみました。
仕事は楽しいかね?
- 物語形式の自己啓発書です。大雪のためオヘア空港に足止めされることになった主人公が、変わったおじいさんと出会って一晩講釈を受けるという内容です。
- 181ページなので、それほど時間がかからず読めます。物語形式なので読み進めやすいのですが、その分ページ数に比べて内容が濃いとはいいづらいです。
- 本書のメッセージは、それほど多くありません。紙面の多くは、著者がなぜそう考えるのかをいろいろな角度から説明することに割かれています。説得力のある内容です。例えば、「人は毎日違った自分になろうと努力しなければならない」「人の模倣をしていては並にしかなれない、トップを目指すなら試行錯誤を繰り返し、完璧にした上にさらに完璧にする心がけが必要だ」「新たなチャレンジをしてそれがうまくいかなかったとしても、その経験が自分にとってまったくの無駄になることはないのだから試行錯誤を続けるべきだ」という感じです。
印象に残った内容
試してみることに失敗はない
試行錯誤してみて、それが1回で成功する確率がたとえ10%しかなかったとしても、何十回も同じような試行錯誤を繰り返せば少なくとも数回は成功するということ。だから、うまくいかないかも・・・と尻込みせずにとにかくいろんな方法やアイデアを試してみるべき。もし挑戦して失敗しても、取り返しのつかなくなることはあまりない。
毎日違う自分になる
毎日よりよくなろうと(ちがった自分になろうと)努力する。完璧を目指すだけでは、そこから+αの改良を加えた競争相手に追い抜かれてしまう。完璧にして満足していないで、そこから更に変更・修正・改良などができないかを常に試してみることが重要。
偶然は発明の父
普通の自己啓発書には、「勉強する時間を増やす」とか「最低○○冊の自己啓発書を読み込む」などの地道な方法が書いてある。でも、決められたことだけ地道にやっていれば報われると思うのは間違いで、本当に人と差をつけたいなら、新しいアイデアやチャレンジをするべき。
そのためには、偶然目の前で起こることの中に、ヒントが落ちていないかいつも気をつけていよう。本書では、ジーンズの老舗リーバイスの創業秘話が紹介されている。
1950年代のアメリカゴールドラッシュの際に、創業者リーバイは金を掘るため、カリフォルニアに向かうことにした。行きがけの駄賃として、幌などのキャンバス地でできた袋などを持っていって鉱夫たちに売りさばいた。ある鉱夫がリーバイに、ズボンは売っていないのかと聞いてきた。当然ズボンなど売っているはずもなかったが、リーバイは激しい労働をする鉱夫たちには、しっかりしたキャンバス地のズボンがぴったりだということに気づき、ジーンズを作り始めた。
リーバイがまったくの偶然から「キャンバス地+ズボン」という組合せの絶妙さに気づいたように、偶然あなたに訪れるアイデアを見逃さず、活かせる心づもりをしておこう。
適切な時や完璧な機会はない
完璧な機会がそのうちくると思って待っていても、くることは決して無い。だから、この場でただちに始めるべきだ。
ぱっと浮かぶ考えは使い古されたもの
そして、いろいろ考えてやっと浮かんだアイデアも、それほど新しいものではない。だから、いちかばちかの賭けをしないなら、新規性など認められないし、チャンスなどない。
なにかをやってみてだめだった場合でも、前いた場所に戻ることはない
何も得られるものがなかったとしても、それは前のやり方が評価すべきものだということがわかったということ
リストを3つつくる
- 自分がこれまでしてきた仕事の失敗
- 仕事の問題点(イライラすることや他の人の不平も)
- 仕事に関して自分がやっているすべてのこと(細かいことも含めて)
失敗のリストは、その失敗からなにか新しいアイデアが産まれないかを考えるためのもの。失敗をカバーするためにしたことは、もっと積極的に使えることではないか?
問題点のリストは、これから解決していく目標。
そして、職場でしていることをすべて改善するためには、まずそのすべてが何かを把握する必要がある。そのそれぞれがどのように改善できるのかいろいろな方法が考えられる。同じアイデアは二度と書いてはいけない。毎日リストを変化させられるようにすること。
多くの人はアイデアは持っていないが考えは持っている
自分のアイデアや試作品を、上司など見せる価値のあると思う人に見せてみる。そういう人たちがアイデアをくれるということはないが、意見はもっているので自分がつくったアイデアに対する意見はくれる。それを元にもとのアイデアを修正していく。そうやって実験好きな人だという評判がたてば、あとは周りからいろんなアイデアを持ってきてくれるようになる。
感想
こんなにうまくいくかなと懐疑的な気持ちも残るが、それでもたくさんのアイデアに挑戦しつづけることの可能性に気づかせてくれるいい本。気分が明るくなります。欲を言えば、後日談(主人公がこの一晩での経験を通して職場で重用されるようになり、会社を興して独立して成功する)があまりに安易すぎるので無い方がよかったと思います。