論文を書く時間がないと嘆く研究者向けのハウツーもの。評判が良かったので、読んでみました。論文だけでなく、完成させなければならない大きめの書類(報告書、本など)がある人にも共通で使えるのでおすすめです。
副題にもあるとおり、「たくさん」書くテクニックという観点から読みました。
本書の主張
Amazonのレビューにもある通り、本書の主張は「とにかく毎日時間を決めて、その時間は絶対に書くこと。もしくは、論文を書くためのデータ集め、統計処理、文献整理などをする。」と決めて、その作業をこなしていく、ということです。
時間がないとかやる気がでないとか言い訳する人もいますが、その時間だけは会議も断り、やる気が出なくてもとにかくルーティン的に書き進める。それだけです
本書の感想
時間を決めて毎日とにかく書くこと、それ以外に、それを実践するためのテクニックが書かれています。テクニックは、目標を決める、達成の記録(進行状況の整理ファイル)をつけるなど、特に目新しいものはありませんでした。また、論文の書き方として、タイトル、アブストラクト、本文……とそれぞれ書き方や英語の注意点なども書かれています。こちらも、よくある論文の書き方の指南本などと特に変わったところがなく、むしろそのような書き方の専門書の方がよくまとまっていると思いました。
ただ、
- 達成の記録の具体例(何月何日:何文字書いた、目標は達成できた、など)
- 時間を決めてただ書いていくのは一見ルーティン的に見えるが、実はそうして書くことを強制されたほうが独創的なアイデアが浮かびやすいというデータがある
- 目標を達成できたかを報告しあうグループをつくって、報告する機会を設ける
など、興味深い点や細かいテクニックなどは使えるものも多いかと思いました。後半の論文の書き方は蛇足だと思いますが、特に前半は、もし書物が進まなくて困っているのであれば、一読の価値ありです。